自身もそのひとりだという、管理栄養士の森由香子氏著書『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』より、「がんばらず」に作れて「少量」でも栄養バランスが整い、健康管理がきちんとできる食べ方をご紹介します。
中高年の女性や少食の方からよく聞かれるのが、「肉はあまり食べていません」という声です。
特に少食な方は、若い頃から肉が苦手な人が多く、ただでさえ不足しがちなたんぱく質が摂れていない人が少なくありません。
中高年の方は、毎日の食事でたんぱく質をしっかり摂らないと、筋肉量がどんどん減少し、疲れやすい体になっていきます。
そして、身体を動かないことでますます筋肉が落ちていき、やがては「虚弱」を意味する「フレイル」になることも考えられます。
フレイルが進行すれば、筋肉量の減少により手足が思うように動かなくなって、要介護になってしまうケースも出てくるのです。
いつまでも元気な体を維持したいのであれば、毎日、たとえ1食でも必ず肉を食べるようにしたほうがよいでしょう。
おすすめは、ある程度の大きさの肉のかたまりをシンプルにゆでておいて、少しずつ切り分けておかずにする方法です。
豚のひれ肉、もも肉、鶏のもも肉、胸肉、どの部位でもかまいません。
手に入るのであれば、牛肉でもよいです。
鍋に肉が浸かる程度の水を入れ、火が通って柔らかくなるまでゆでるだけです。
においが気になる豚肉などは、しょうがやねぎの青い部分を少し入れてゆでるとよいでしょう。
塩は入れても入れなくてもかまいません。
ゆで上がったら、ゆで汁に浸けたまま冷めるまで待ち、好きな厚さにスライスして一食分ずつをジップロックで小分けして冷凍しておくと長持ちします。
食べるときは、電子レンジで温めれば、塩やこしょうをつけるだけでおいしくいただけます。
好みで、わさびじょうゆやマヨネーズ、ドレッシングなどをかけてもよいでしょう。
これ一品で、数日間は、毎日手軽に肉料理が食べられます。
残ったゆで汁でだしのきいたスープも作れますし、溶き卵や刻みねぎとごはんで、おじやなども作れます。
中高年になって少食になってくると、何種類も食事を作るのがだんだん辛くなってきます。
主食、主菜、副菜のすべてを用意するのが健康のために理想的とわかっていても、よほど料理が好きな人以外、毎日続けるのは難しいのではないでしょうか。
少ない品数でも栄養バランスを整え、エネルギー量も増やしたいなら、積極的に使ってほしいのが、じゃがいも、さつまいも、さといもなどのいも類です。
いも類を野菜と勘違いしている方は少なくないのですが、糖質が多いいも類は、栄養学的に野菜には含まれません。
ごはんと同じ炭水化物のグループに入ります。
少食の方や調理が面倒になってきた方は、シチューを作るとき、必ずいも類を入れましょう。
ごはんやパンの代わりになるので、主食を用意しなくても炭水化物も摂取でき、そのひと皿だけで栄養バランスが整いやすくなります。
同様に、大きなじゃがいもがゴロゴロ入ったポトフやスープカレーなども、ひと皿で食事になりやすいメニューです。
和食なら、肉じゃがはもちろん、煮しめや筑前煮がよいでしょう。
こちらもごはんを炊かなくてもエネルギーを補給できます。
ただし、どのメニューもごはんやパンを用意しないのであれば、いも類はいつもより多めに入れるようにしてください。
切るときも、少し大きめにしたほうが食べ応えが出ます。
ちなみに、糖尿病の食事療法では、いも類の摂取量が制限されます。
それだけいも類は糖質が摂れる食物だということです。
つまり、少食の方やエネルギーが不足している方には、いも類を積極的に料理に取り入れていただきたい食物ということになります。
また、ひと皿で済むメニューは後片づけもカンタンなので、自炊の負担感を軽くできます。
一時は、肥満の原因や血糖値を上げる要因とか言われ、とかく悪者扱いされていた、ごはん。
糖質制限ダイエットが流行した影響もあって、昨今、ごはんはあまり食べなくなったという人が増えました。
しかし、毎食ごはんの量を減らして糖質が不足すると、体にさまざまな問題が起きます。
まず、筋肉のたんぱく質代謝に悪影響を及ぼし、筋肉量が減ってしまいます。
また、炭水化物が分解されてできるブドウ糖は脳のエネルギー源なので、頭が働かなくなったり、精神状態が悪くなったりします。
そもそもごはんを減らして、お腹を満たそうとすると脂っこいおかずの量が増えがちになるので、中性脂肪やコレステロールの値が上がりやすくなる危険性もあります。
適切なごはんの量は、年齢や性別、活動量などによって違いますが、60歳以上の方は、お茶碗に軽く1杯を目安としてください。
食が細く、白いごはんだとあまり食が進まないという方は、野菜ジュースの炊き込みごはんを試してみることをおすすめします。
ごはんを炊くとき、水の代わりに、同量の野菜ジュースを使うのです。
野菜ジュースの種類にもよりますが、炊き上りが緑だったりオレンジだったりして、ほんのり野菜の風味がするので食欲もでてきます。
一緒にコンソメを1合当たり小さじ1杯(4g)入れると、ピラフのように味も整い、おいしく食べられます。
加熱することでジュースに含まれていたビタミン類はある程度減りますが、全部なくなってしまうわけではありません。
野菜ジュースのビタミン類やミネラル類がプラスできるので、同じお茶碗1杯でも、白いごはんより栄養価が確実にアップします。
まとめ
タンパク質の次にエネルギーの元となる炭水化物を取りたいですが、食がすすまないときは小さなおにぎりをいくつか握っていただくと、思っているよりもたくさん食べられます。
フレイルの予防には運動も大切ですが、やはりきちんと栄養をとった食生活をすることが肝心です。
これから本格的な夏迎えますが、暑さに負けない元気な身体を維持していきましょう。