毎日時間に追われる多忙な我々にとって、よく言われる「1日1万歩」は現実的な目標ではありません。
実は最新研究では、「理想の歩数」は1万歩ではなく、もっと低い目標でも十分な健康効果が得られることが証明されました。
今回は、最小の労力で最大の健康リターンを得るための「科学的な最適解」をご紹介したいと思います。
運動はいろんな形式がありますが、とくに年を重ねた年配の方にとっては、ウォーキングが身体に負担のかかりにくい最も好まれる運動様式です。
ゆっくり歩くくらいだとそこまで心肺への負荷は大きくありませんが、その健康の利益は顕著にあらわれます。
歩数と健康の関連性をみた論文は多くあるのですが、それをまとめた報告によれば、1日7500歩程度までは、多ければ多いほど死亡や心臓病のリスクが低いことが示されています。
一方で、どのようにウォーキングするのが最も効果的なのか調べた研究はほとんどありません。
どのように、というのは、具体的な例を挙げると
・週1~2回、ウォーキングする時間を決めてしっかり取り組む
・毎日の歩数が増えるよう意識する
だったりします。
これを直接比較するため、高齢女性のデータを使って研究を行い、Women’s Health Studyという大規模なデータを用いて心臓病の既往のない高齢女性1万3547名を対象に、1週間アクチグラフというウェアラブルデバイスをつけてもらい、運動時間や歩数を測定しデータをとりました。
その後の彼女らを11年追跡し、死亡や心臓病の発症を検証しました。
このデータを使い、歩数の目標値設定を、1日4000、5000、6000、7000歩という4パターンで「歩数の目標値を1週間のうち何日達成したか」が死亡や心臓病発症とどれくらい関連性があったのかを調べたところ、興味ある結果が大きく2つ得られました。
1つ目は、1日も4000歩を達成しない人と比較し、1~2日でも4000歩を達成した人は、死亡リスクが26%、心臓病リスクが27%も低いことがわかりました。
つまり、ほとんど歩かない方と比べ、少しでも歩く習慣があると、病気のリスクはかなり減ることが期待される、ということが示されたということです。
2つ目は、平均歩数で調整したとき、その関連性がまったくなかったのです。
この結果から、健康を考える上では、「1週間のなかでどのように歩くか」というパターンよりも、結局平均どのくらいの歩数を歩いているかのほうが重要であることを示しています。
少しでも歩くこと、そして目標は平均歩数であること。
高齢の方を対象とした場合、運動と健康を考える上でこのような情報を知っておくことはは重要です。
特に車社会で歩く頻度が少ない方は、1週間に数日でも少しでも歩く習慣をつけることで、大きな健康効果が期待されます。
もちろん人によって効果が異なることも重要です。
特に歩数と健康の関連性は年齢によって大きく異なることが示されています。
上記の研究も対象年齢の平均の差が10歳程度ある点は注意する必要があります。
また、どちらの研究も運動量を1週間しか測定しておらず、時間がたって運動習慣が変化することについては考慮されていません。
さらに、「ウォーキングをしていた人が死亡率が低かった」という関連性をみたものであり、直接に「ウォーキングをすると死亡率が減る」という因果関を主張しているものではありません。
例えば、具合が悪いから歩数が少ないという逆の因果関係を捉えている可能性もあります。
ただ、それを考慮した解析を行っても同じような結果が得られることがわかっています。
まとめ
1日1万歩でなくても、たとえば4000歩を週1~2日でも、ウォーキングの習慣をつけることで心臓病や早期死亡の予防が効率的にできる可能性が高まる希望が持てます。
無理なく、日々の生活の中にウォーキングの習慣を取り入れてみてください。