寒くなってきたからと油断していると、日頃よくやりがちな行動の中に意外な落とし穴があることも。
そこで今回は、食中毒の危険を招きかねない料理中の注意点についてご紹介します。
★ 食中毒の危険性が高い行為
1.生肉を調理前に洗う
2.肉や魚を切ったまな板を熱湯で流す
3.少ない油で揚げものをする
4.カレーを常温に置いておく
5.お弁当に生野菜を入れる
★ まとめ

g 料理をする前の食材は何でも、洗った方がキレイになるし、衛生的だと思うかもしれませんが、生肉を洗うのはやめましょう。
スーパーや精肉店などで購入する肉は、すでに衛生的に処理されており、汚れや菌を落とすためにわざわざ洗う必要はありません。
洗ってしまうと旨み成分まで流出してしまう可能性があるうえに、肉の表面についた食中毒菌がシンクやワークトップなどに飛び散り、ほかの食材や調理器具を汚染してしまう場合があります。
特に鶏肉は、カンピロバクターという食中毒菌を保有していることが多く、少ない細菌数でも腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの食中毒を引き起こすことで知られており、カンピロバクターを原因とする食中毒は、近年発生件数が最も多い細菌性食中毒となっているため十分に注意する必要があります。
生肉からのドリップ(赤い汁)が肉の表面について気になるときには、キッチンペーパー等で拭き取るようにしましょう。
2.肉や魚を切ったまな板を熱湯で流す

生肉には食中毒菌が付着していることがあるため、その肉を切ったあとのまな板にも食中毒菌がつくことがあります。
まな板はその都度しっかりと洗い、肉や魚を切るまな板と野菜を切るまな板は替えたほうがいいということはご存じの方も多いことでしょう。
さらに注意してほしいのが、肉や魚を切ったあと、すぐにまな板に熱湯を流しかけることです。
肉や魚のたんぱく質は、60℃以上の熱で固まります。
切った直後のまな板に熱湯をかけると、その表面でたんぱく質が固まってしまい、汚れを頑固にしてしまう可能性があります。
傷のついたまな板の中に、固まったたんぱく質が残ると、食中毒やカビ、黒ずみなどの原因になることも。
また、食中毒菌の多くは75℃以上、1分の加熱で死滅するといわれていますが、まな板に熱湯を流しかけるだけでは、上手くかからない部分があったり、すぐに温度が下がってしまって十分な効果が得られなかったりと、菌を完全には取り除けないことも考えられます。
肉や魚を切ったあとのまな板は、中性洗剤とスポンジやたわしを使ってしっかりと洗い、水やぬるま湯で汚れをしっかりと洗い流しましょう。
そのあとで塩素系漂白剤やアルコール除菌スプレーなどを使って除菌するとさらに効果があります。
熱湯をかける場合は、中途半端にかけるのではなく、たっぷりと全体に回しかけるようにしてください。
3.少ない油で揚げものをする

揚げ物はしっかり火を通しているから、食中毒の心配は少ないだろうと思いがちですが、少なめの油で揚げ物をするのは、食材や料理によっては注意が必要です。
揚げ油をたっぷりと使うのはもったいないといった理由で、できるだけ少ない量の油で揚げ物をする方法が支持されています。
しかし、生の肉や魚を使った料理を少ない油で揚げると、食材全体が油に浸かっていないため、表面は高温でも中心温度は低いままだったり、油の温度がすぐに上がって、表面ばかり色がついてしまい、中まで火を通る前に引き上げてしまう心配もあります。
特に冷凍のメンチカツやフライなど、凍ったまま調理するものは中心の温度が上がるまでに時間がかかります。
冷凍されていても、食中毒菌は食材の中で生き残っている場合があるので、時間をかけてしっかりと加熱しないと死滅しません。
肉や魚を使った厚みのある食材を揚げるときには、多めの油を使い、一度にたくさんの量を揚げないようにしましょう。
また、表面の揚げ色だけに気を取られず、中を割って、中心まで火が通っているか確認するようにしてください。
揚げ物だけでなく、未加熱品の冷凍ハンバーグなども中心まで火を通さないと、食中毒を引き起こす可能性があります。
市販の冷凍食品を使う場合は、パッケージをよく読み、調理方法をしっかりと確認しましょう。
4.カレーを常温に置いておく

スパイスたっぷり使われているうえに煮込むカレーは、食中毒とは無縁と思う人もいるかもしれませんが、カレーを始め、シチューや豚汁といった煮込み料理は要注意です。
ウエルシュ菌という食中毒菌が繁殖しやすい条件がそろっているためです。
ウエルシュ菌は、肉や魚、野菜などに付着しており、酸素を嫌ううえに100℃以上で数時間加熱しても死滅しません。
しっかり煮込んでも生き残れるウエルシュ菌は、温度が20~50℃前後まで下がったときに爆発的に増殖します。
特にとろみのあるカレーは温度が下がりにくく、繁殖しやすい温度帯が長く続くことになるため要注意です。
カレーは多めにつくり置きして、2日目以降も食べるという方も多いかもしれませんが、常温のまま長く置いていると、再加熱しても、ウエルシュ菌はなくいならないので大変危2日目以降も食べたい場合は、できるだけ早く鍋から出して小分けにし、保冷剤などで冷やしてあら熱を取ったら、すぐに冷蔵庫へいれましょう。
食べきれないときには、冷凍保存をするのもおすすめです。
5.お弁当に生野菜を入れる

おしゃれなお弁当の写真を見ると、彩りにフリルレタスやきゅうりなどの生野菜が使われていることがあります。でも、お弁当の生野菜は避けたほうが安心です。
食中毒の繁殖には、栄養と水分、温度が影響します。
加熱調理していない生の野菜は、よく洗ったとしても、食中毒菌が残っている可能性が高く、また、生野菜をおかずの仕切りなどに使うと、いくら水気をしっかり拭っていても、ほかのおかずからの塩分により水分が出てきます。
気温が高いと、それだけで食中毒菌が繁殖しやすい環境になってしまいますので、気温の高い日のお弁当には加熱調理した野菜を使うことをおすすめします。
色どりにミニトマトを入れる方もいると思いますが、ヘタの部分には菌がついていることが多いため、ヘタは必ず取るようにしましょう。
カットしたり、ピックを刺したりすると、水分が出やすくなるので、しっかり洗って、きれいなキッチンペーパーで水気を拭ってから、切らずにお弁当に入れるのがおすすめです。
まとめ
気温が下がってきたからと油断せず、調理時は食材をしっかりと加熱することを心掛けてください。
調理後に常温や冷蔵庫で保存する場合は、出来るだけ早めに食べてしまいましょう。
長期間保存するときは、しっかりと冷ましてから冷凍庫へ入れることをおすすめします。
それでも長期間冷凍庫に入れていると冷凍焼けで味も風味も落ちてしまうため、1か月以内で片付けてしまいましょう。